太陽礼拝について

「太陽礼拝」コース はじめに 太陽礼拝について

■太陽礼拝とは

太陽礼拝。英語では「サンサリュテーション (Sun Salutation)」、そしてサンスクリット語では「スーリヤ ナマスカーラ」です。

日本語の呼び名からも分かるように、「スーリヤ (सूर्य Sūrya) 」は太陽を、「ナマスカーラ (नमस्कार Namaskār) 」は挨拶や敬礼を意味します。また、スーリヤは、インド神話に伝わる太陽神。生きるもののエネルギー源である太陽、そして太陽神に対し、感謝の意を込め敬意を示しながら行う一連の動きが太陽礼拝です。

■太陽礼拝の起源

最近では除夜の鐘にちなんで108回の太陽礼拝なども企画され、ヨガの世界ではとにかく人気の太陽礼拝。4,000年以上の歴史を持つヨガですが、実はこの太陽礼拝、比較的最近になって作り上げられたもののようです。太陽礼拝の起源については諸説があり、一説には17世紀にヒンドゥー教の聖者によって始められたとされています。ただ、当時の太陽礼拝はマントラを唱えながら不特定なアサナを行う運動だったようです。

現在の形の太陽礼拝がアサナと共に紹介されたのは、1928年のバワンラオ・シュリニワスラオ・パント・プラティニディ王による著書『The Ten-Point Way to Health』が最初とされています。また、B.K.S. アイアンガー氏の師でもあり「現代ヨガの父」と呼ばれているクリシュナヤチャリア氏が、インドの古典武道の動きを基本のヴィンヤサとして使用していたと言われており、それが太陽礼拝に類似していたことも確かなようです。太陽礼拝にさまざまなバリエーションがあるのも、これらの理由によるためかもしれません。

Detachable 2-page illustration of Surya Namaskar sequence from Pant Pratinidhi's 1928 book The Ten-Point Way to Health: Surya Namaskars
Detachable 2-page illustration of Surya Namaskar sequence from Pant Pratinidhi’s 1928 book The Ten-Point Way to Health: Surya Namaskars

■太陽礼拝のアサナ

太陽礼拝のバリエーションはいろいろありますが、一番基本的なものは10種類のポーズ (7種類のアサナおよびその間のポスチャー) によって構成されます。このコースでご紹介する太陽礼拝も以下の10種類のポーズによって構成されています。

スルヤナマスカーラ
スティティ
ウールドヴァハスター
アサナ
ウッターナアサナエーカパーダプラサラナアサナファラカアーサナ
アシュタンガナマスカーラウールドヴァムカ
シュヴァーナアサナ
アドームカ
シュヴァーナアサナ
エーカパーダ
プラサラナアサナ
ウッターナアサナ
アサナ名主な効能
ウッターナアサナ心身の疲れを取り除き、心拍数を整え、肝臓・脾臓・腎臓を鍛え、胃の疲れを緩和する。生理痛および生理中の背中や腰の痛みを緩和する。
ファラカアーサナ腹部の筋肉をまんべんなく使い、体幹を鍛え、代謝を促す。手首、腕全体の筋肉を強化するとともに、脚全体の筋肉も鍛える。集中力を高める。
アシュタンガナマスカーラ手脚の筋肉、腹筋を鍛え、腰部および背骨周りを鍛え柔軟性を増す。心を落ち着かせ、心身を浄化する。
ウールドヴァムカシュヴァーナアサナ骨盤周りの血行を促し、腰痛、坐骨神経痛に効果あり。背中の柔軟性を増し、脊椎の異常がある場合にもその補正に効果あり。背筋を強化し、背中周りの凝りや痛みを取り除く。胸が広がり、肺勝郎を増し、喘息の緩和にも効果あり。内臓にもよい刺激を与える。疲れがたまったとき、気分が落ち込んだときにも効果あり。
アドームカシュヴァーナアサナ脳細胞を若返らせ、疲れをとりのぞき、脳に生気を与え、疲れを取り除く。甲骨周りの凝りをほぐし、肩関節を治す。胸が広がり横隔膜がひきあげられるので、心拍を整え、上体の血行を促す。

■太陽礼拝のマントラ

太陽礼拝は運動であるとともに、太陽および太陽神への敬意を示すための動きであります。そして、インド旧来のヨガスタジオでは太陽礼拝のサイクルごとマントラが唱えられます。このコースの最後でも、太陽礼拝1サイクルごとにマントルを唱え、合計13のサイクルをマントラと一緒に行います。

マントラは神様へのお祈りとして宗教的な意味合いが強いですが、マントラという言葉自体は、サンスクリット語の manas と tra からできています。manas は “mind (マインド)” や “to think (考えること)” などと訳されます。tra は “tool (ツールや道具)”、”vehicle (そこに到達するまでの手段)” などと訳されます。つまり、神へ捧げる言葉であるとともに、マインドへの手段、奥底にいる本来の自分のマインドと繋がるための手段、と考えていただければと思います。

太陽礼拝のマントラと各マントラのおおまかな意味は、以下のとおりです。なかなかうまく発音できませんが、カタカナ書きも一緒に加えてありますので、発音よりはむしろ「音」を発することに意識を集中して唱えてみましょう。また、マントラの翻訳にはこれまたいろいろなバージョンがあるのですが、ここではチェタン先生の師の系列の英語訳を日本語にしてご紹介します。

以下のマントラはすべて「Namaha (ナマハ)」で終わっていますが、このサンスクリット語の単語を英語に直訳すると “na” が “not” 、”maha” は “mine” となり、つまりは「私のものではない」となります。個である自分が万物の創成者である神のもので、その神に対して礼拝する、という意味と理解してよいでしょう。以下、ナマハ部分以外の意味を記します。

Om Mitraya Namaha
(オーム ミットゥラヤ ナマハ)
サンスクリット語の「Mitr」から派生したもので、「友」という意味です。

Om Ravaya Namaha
(オーム ラヴァイェ ナマハ)
サンスクリット語の「Ravi」から派生したもので、太陽のこと、「輝かしいもの」という意味です。

Om Sooryaya Nahama
(オーム スーリャーヤ ナマハ)
サンスクリット語の「Surya」から派生したもので、太陽のこと、「美しく光を発するもの」という意味です。

Om Bhanave Namaha
(オーム ブァーナヴェ ナマハ)
サンスクリット語の「Bhanu」から派生したもので、太陽のこと、「光の源」という意味です。

Om Khagaya Namaha
(オーム カガーヤ ナマハ)
サンスクリット語の「khag」から派生したもので、太陽に住むもの、「空を移動するもの」という意味です。

Om Pooshne Namaha
(オーム プゥーシュネー ナマハ)
サンスクリット語の「Poshan」から派生したもので、「滋養や栄養を与えるもの」という意味です。

Om Hiranyagarbhaya Namaha
(オーム ヒランニャガルバーヤ ナマハ)
サンスクリット語の「Hiran(鹿)+grabh(子宮)」から派生したもので、「金の卵」の同義語とされ、「金色に輝くものを持つもの」という意味です。

Om Marichaye Namaha
(オーム マリチェ ナマハ)
サンスクリット語の「Marich」から派生したもので、太陽のこと、「光を放つもの」という意味です。
Marichi は、創造神ブラフマーの第1子でもあり、Marichay は「光線」を意味します。

Om Adityaya Namaha
(オーム アディッテァヤ ナマハ)
Adhiti (宇宙すべての産みの母アディティ) の息子という意味です。

Om Savitre Namaha
(オーム サヴィットレ ナマハ)
サンスクリット語の「Savitr」から派生したもので、陽が昇る前の段階を示した語で、「これから世界に光を照らすもの」という意味です。

Om Arkaya Namaha
(オーム アルカーヤ ナマハ)
サンスクリット語の「Ark」から派生したもので、「崇敬に値するもの」という意味です。

Om Bhaskaraya Namaha
(オーム バースカラーヤ ナマハ)
サンスクリット語の「Bhaskar」から派生したもので、「Bha (光と知識)」と「 kar(行う)」という二語から構成され、「闇から救い、光と知識を与えるもの」という意味です。

Om Sree Savitr Suryanarayanaya Namaha
(オーム シュリ サヴィットゥル スーリャナラーヤナーヤ ナマハ)
世界を光で照らす太陽神に対する感謝を意味します。

このコースのフェーズ3の最後のレッスンでは、マントラを唱えながら太陽礼拝を行います。マントラを唱えながら、太陽礼拝でご自分と繋がってみてください。