チャンティング
By Sakiko
音の魔法
音=振動(バイブレーション) 。この振動が、気体や液体などの”モノ”を伝わり、耳の中の鼓膜を震わせ、最終的には私たちの脳に音として伝わります。
左の動画をご覧になってみてください。異なる音の高さ (周波数) の振動によって、次々と “モノ” が異なるパターンを作る様子を見ることができます。見ているだけでわくわくします。
そんなこんなで、音=振動が物体に影響を与える、という事実から、医学面でも研究が行われています。そのひとつが、共振する周波数の持つ破壊力を利用して微生物や細胞を破壊するというものです。それに因んだ 2013年の TED でのアンソニー・ホーランド氏のトーク (ビデオはこちら) は、かなりの話題を呼びました。単純にいうと、振動を癌や白血病の治療に用いる研究です。画期的!
マインドへの旅
さて、音が私たちにも影響を与えることは何となくわかってきました。幸い、私たちの多くは音を出す能力を持ちます。身体から音を出して、その振動を頭蓋骨、身体全体で感じることは、私の経験上でも大変よい効果がある、と言えると思います。そこで、チャンティングです 🙂
ヨガでいうチャンティングは、オーム、シャンティ、神の名前、マントラなどを詠唱する、とお話ししましたが、チャンティング自体は他の宗教、他の文化にも存在します。つまり、インドの神様への信仰がなければチャンティングできない、というわけではありません。以下でご紹介するクリシュナ・ダス氏も「前もって何かを信じる必要はありません。ただチャンティングという行為を味わい、自分がどう感じるかを観察するだけで良いのです」と語っています。
ちなみに、マントラとは、サンスクリット語の manas と tra からできた言葉です。manas は “mind (マインド)” や “to think (考えること)” などと訳されます。tra は “tool (ツールや道具)”、”vehicle (そこに到達するまでの手段)” などと訳されます。つまり、マインドへの手段、奥底にいる本来の自分のマインドと繋がるための手段、と考えればよいかな、と私も考えています。
ハヌマーンとラーマーヤナ
『ラーマーヤナ』のあらすじを、すごーく端折って大雑把に話すとこんな感じです。誘拐されたシータ妃を探し出すために長旅に出るラーマ王。行く道、いろいろな難関が降り注ぐのですが、それらを乗り越え、最終的には魔王ラーヴァナと戦いシータ妃を救い出します。そして、何といってもその戦いの際のハヌマーンの活躍がすばらしいのでした。
まだお読みになったことがない方は、左の本がおススメです。インドでは多くの素敵な日本人女性との出会いがありました。その中のお一人が鈴木成子さんという素晴らしい女性なのですが、右の本は、その成子さんがイラストを担当した本です。成子さんのイラストを見るだけでも買う価値がある! と感じてしまいますが、翻訳もすばらしく、そしてすべての漢字にルビがふられているので、子どもでも読めるようになっています。
そんな成子さんの著書『まるごとインドな男と結婚したら』も、是非読んでいただきたい本の一つなので、ついでにご紹介させていただきます。逞しく、されどしなやかに、あくまでも前だけを見てインドと共に生きてきた成子さん。読むうちに、タイムカプセルに乗って70年代のインドにトランスポートしたような気分になります。
成子さんに巡り会わせてよかった♡
チャンティングしてみてください
下のクリシュナ・ダスの “Baba Hanuman” の動画と一緒にチャンティングしてみてください。
歌詞は以下のとおり。ギターを弾く方は、ごく簡単な C, F, Dm でいけます。詩にはいろいろなバージョンがありますが、この動画では基本以下の2行を繰り返すだけで十分です。
Jaya Seeyaa Raama
(シータ妃とラーマ王に勝利を)
Jai Jai Hanumaan
( ハヌマーンに勝利を)
クリシュナ・ダス
~幸せを知る~
”私たちは一時的な感情に左右され、
本来の幸せを見失っている"
今回のパンデミックで米国での死者数は10万人を超え、失業率は15%弱 ( 実質はもっと高いという噂もあります) となってしまいました。愛する人を失い哀しみに暮れる人たち、職をなくし不安にかられる人たち。一方で、こんな状況下の人たちを見過ごすかのように、野望いっぱい、中傷いっぱい、暗いニュースもいっぱい耳に入ってきます。とかく大きな幸せだけを探したがる私たち。ちょっとだけ立ち止まり、今ある自分の中に幸せさを感じてみてください。そして、その日その時の目的に応じて自分にあったチャンティングやヨガを行い、小さくてもいい、本来の幸せと繋がれるようにプラクティスしてみてください。たくさん笑って。きっと何かが変わっていきます。
チャットでチェタン先生とヨガプログラムの打ち合わせをしていたある日のこと。
時給ベースの職業の先生。今回のパンデミックで経済的なインパクトも強かっただろうと予測しながらも、打ち合わせが一段落したので、普通の会話に戻して、
「今日どんな1日でしたか?」と聞くと、
「とってもいい日だった」と。
「へー、よかったですねぇ。どんな風に?」
「ドーサを食べた」
大笑い、そして涙した私でした。